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フィラリアの予防

フィラリア症は蚊によって感染し、ワンちゃんの命にかかわるとても怖い病気です。
蚊は私たちの生活の中で普通に見る生き物で、フィラリア症はとても身近ないつ感染してもおかしくない病気なのです。
しかし感染や予防の仕組みはあまり知られていないのではないでしょうか?
病気の予防を確実にして、大切なワンちゃんをフィラリアから守りましょう!
どうしてフィラリアに感染するの?
①蚊から動物(犬)へ感染
蚊が吸血する時にワンちゃんの体内へ感染仔虫が侵入。
皮下・筋肉・血管と移行していき肺動脈・心臓に寄生
②動物(犬)が宿主となる
肺動脈や心臓で親虫になり、血液中にミクロフィラリアを生み出す。
③蚊が感染した血を吸血し、媒介
ミクロフィラリアのいる血液を吸血し、蚊の体内で感染する準備のできた感染仔虫に成長
①に戻る
どうすれば予防できるの?
フィラリア症は月1回の投薬で予防できます。
フィラリアのお薬は飲んでから1ヶ月間効果が続くというわけではありません。
1ヶ月前にワンちゃんの体内に入り込んだ少し成長した感染仔虫をまとめて駆除するお薬なので蚊が活動始めた1ヶ月後から蚊を見かけなくなってから1ヶ月後までしっかり予防する必要があります。
蚊は平均気温が15℃以上で吸血すると言われていますので、15℃以下になるまでは予防しましょう。
また1回の注射で1年間効果が持続する予防法もあります。
お薬の前に検査するのはなぜ?
予防する前に、フィラリアが感染していないことを確認するために血液検査が必要です。
フィラリアに感染している状態で予防すると副作用が出てくる恐れがあります。
・血中のミクロフィラリアが死滅することで体内に異物があると認識し排除しようとアレルギー反応(アナフィラキシーショック)
・死んだミクロフィラリアが血液に乗り様々なところで塞栓して起こる筋肉痛、発熱、急性腎不全、血液循環不全など・・・・
・お薬が心臓に寄生している成虫に作用すると成虫が死んでしまい、大静脈に詰まり大静脈症候群を起こしてしまうことがあり、大変危険な状態になります。
ワクチンのお話

混合ワクチンは、治療が困難だったり、死亡率が高い伝染病を免疫をつけて予防するために行います。
万が一病気に感染してしまっても、ワクチン接種をしていない子に比べれば、はるかに軽傷で済みます。
ワクチンは一生効果があるものではありません。
年1回必ず接種しましょう。
(仔犬、仔猫の場合、初回数回接種)
なぜ仔犬・仔猫は数回接種しないといけないの?
A①
初乳には、お母さんから貰う抗体(移行抗体)が含まれており、様々な感染症から守ってくれますが、生後45日~90日頃で消失してしまいます。
移行抗体には個体差がありいつ消失するか予測は困難です。
また、移行抗体があるうちに接種をしても効きめが出ません。
ですから、生後2ヶ月目・3ヶ月目と接種しなければいけないのです。
A②
さらに、初回ワクチン接種による抗体価が減衰する時に2回目のワクチン接種を行うと、初回ワクチン接種よりも抗体価が高く上昇します高く上昇します。(ブースター効果)
生後数回の接種によるブースター効果で、仔犬・仔猫に確実な免疫力をつけることができます。
ワンちゃんのワクチン
【6種】
ジステンパーウイルス、犬伝染性肝炎、パルボウイルス、パラインフルエンザ、アデノウイルス2型感染症、コロナウイルス感染症
【8種】
ジステンパーウイルス、犬伝染性肝炎、パルボウイルス、パラインフルエンザ、アデノウイルス2型感染症、コロナウイルス感染症、レプトスピラ病黄疸出血熱、レプトスピラ病カニコーラ型
●ダックス系のワンちゃんは副作用がでやすい犬種なので6種のワクチンをお勧めします。
ネコちゃんのワクチン
【3種】
カリシウイルス感染症、ウイルス性鼻気管炎、猫汎白血球減少症
【5種】
カリシウイルス感染症、ウイルス性鼻気管炎、猫汎白血球減少症、クラミジア病、猫白血病ウイルス感染症
●外出するネコちゃんは5種のワクチンをお勧めします。(初回、すでに白血病ウイルスに感染していないか検査が必要)
●別に猫エイズのワクチンもあります。詳しくは、獣医、またはスタッフまでお問い合わせください。
ワクチン接種時の注意事項
●ワクチンアレルギーを持っている場合は接種前にお申し出ください。
●持病がある・妊娠の可能性がある等がありましたら獣医師にご相談ください。
●接種後2~3日はシャンプーを控えてください。
●接種した日は激しい運動をせず、軽めの散歩にしてください。
※顔が腫れる、発熱、眼や口周囲の発赤、嘔吐、ふるえ等の副作用が出た場合は、すぐに当院へご連絡ください。
すぐ対応ができるよう、また、飼い主様が副作用に注意を配り観察できるよう、午前中にワクチンを打ちに来院されることをお勧めします。
僧帽弁閉鎖不全症について

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓が肥大化したり僧帽弁が変形を起こしてしまった結果、しっかり僧帽弁(血液の流れを防ぐ働きをする弁)が閉じなくなり、全身に送り出されるべき血液の一部が心房内に逆流して起こる病気が僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁閉鎖不全症を起こすと血液が肺へと逆流し、血液の循環が悪くなり肺が、うっ血(血液が充満して局所の血液量が増加した状態)して呼吸がうまくできなくなります。
発症する時に主に乾いた咳や呼吸困難などの症状が現れます。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、老齢期の小型犬に多くみられます。
病状の進行について
【ステップ1】
初期では-
①僧帽弁閉鎖不全症の場合、比較的はっきりとした、わかりやすい逆流性の心雑音が聴取されます。
②レントゲンで心拡大がみられたりします。
③外見上、見た目には症状は認められません。
④この時点から治療を開始することが必要です。
※散歩や歩んでいる時などに元気がないのは、老齢のためだと思いがちですが、心臓が悪い場合もあります。
-どう対応する?-
①過剰な運動は、控えます。
②暑すぎ寒すぎ、また急激な温度変化には注意が必要です。
③心臓に負担になる食物=塩分の高いものは与えてはいけません。
④療法食などの食事療法を始めるのもよいでしょう。
心臓に負担がかかる食べ物ハム、パン、ソーセージ、ジャーキー、チーズ、チキン、味噌汁など
【ステップ2】
-軽度では-
①散歩や興奮時に咳が出たり呼吸が速くなったり、疲れやすいなどの症状がみられます。
②のどに「何かが詰まったような感じ」の咳をします。
③できるだけ早く投薬を開始することが必要です。
-どう対応する?-
①ACE阻害剤(血管を広げて血液を流れやすくし、心臓を楽にさせる)を始めます。
②過度な運動は避け、適度な運動を心掛けます。
③食事療法を行ってください。
【ステップ3】
-重度では-
①日常生活の、わずかな運動でも心不全症状が現れます。
②さらに進むと安静時でも咳が出ます。
③肺水腫や胸水の続発症として安静時の呼吸困難や失神などがみられます。
④何も治療せずにしておくと死に至ります。
-どう対応する?-
①ACE阻害剤、利尿剤、冠血管拡張剤を併用します。
②場合によって強心剤(心筋収宿力を増強し、弱った心臓の動きを活発にします)を使用することもあります。
慢性腎臓病について

慢性腎臓病とは
慢性的で元に戻ることなく進行していく腎臓の機能低下のことです。
一度壊れてしまった腎臓を元に戻すことはできません。
また残っている正常な部分へ壊れてしまった分の負担がかかるため、ある一線を越えると一気に病状が進んでしまいます。
しかしながら早期発見とその後の食事管理により、延命が期待できる病気でもあります。
腎臓の役割
ホルモンの産生・分泌
赤血球の産生を促すホルモンや、血圧を調整する働きのあるホルモンを産生・分泌しています。
老廃物の排泄
腎臓ではタンパク質の分解により生じた老廃物などを尿から排泄するために血液を濾過し、尿のもととなるものを作っています。
その際、体にとって不要なものは排泄し、必要なものは再び吸収、そして濃縮して作られた尿を体外へ排泄します。
腎臓病になると
・赤血球の産生を促すホルモンが作られなくなり、貧血になってしまいます。
・腎臓の濃縮機能が衰え、色・臭いの薄い尿が大量に排泄されます。
そのため脱水になり、お水をよく飲むようになります(多飲多尿)。
⇒このような場合、腎臓の75%はすでに機能していません。
治療・・・残った腎臓の機能をこれ以上悪くしないように点滴をします。
脱水の改善、水分のないドロドロの血液をサラサラにします。
その他の症状
食欲不振、嘔吐、体重減少、下痢、毛づやが悪くなる、味の好みがよく変わる、進行すると低体温、口内炎、ケイレン、昏睡状態、尿毒症(体に老廃物がたくさんたまった状態)など。
おうちでできること
①飲水量を増やしてあげる
水食器の素材を変えてみる、数を増やす、ドライフードをウェットフードにかえる。
②食事管理
腎臓病が見つかった時点から、あるいは高齢の子(特にネコちゃん)であれば予防的に腎臓用の食事に切り替えてあげましょう。
※ただし
腎臓病の子は食の好みが変わりやすく、食欲不振であることもあり腎臓用の食事をなかなか食べてくれないかもしれません。
末期の腎臓病の子では、特に何かを食べてくれることがとても大切です。
もし腎臓用の食事を食べないようなら一度動物病院で相談してみましょう。
早期発見・予防のために
慢性腎臓病は年齢とともに増加していきます。
15歳以上の猫においては30%以上が慢性腎臓病という報告もあります。
早期発見のために7歳以上になったら最低3ヶ月に1回は尿検査をうけましょう。
血液検査よりも早期発見が可能で動物にかかる負担・ストレスも少ないです。
また、予防のために高齢になったら腎臓を含め、他の臓器にも配慮したような食事に切り替えるのもいいでしょう。
ワンちゃん・ネコちゃんが辛い思いをする前に検査をしてみてはいかがでしょうか。